『歯を残す』と『歯を治す』ことの違い

こんにちは。いぬきデンタルクリニック院長の井貫です。
今回のコラムのテーマは『歯を残す』と『歯を治す』ことの違いについてです。

 

実際の臨床現場で患者さんからよく聞く声としては以下のようなものがあります。

なんとしても歯を残したい!
歯を削らずに治療したい!
絶対に歯を抜きたくない!
インプラントはしたくない!

などが挙げられます。

『抜歯や歯を削らずに、自分の歯でお食事を食べたい』これが、多くの方のご希望です。自分の歯を好き好んで抜歯したいという方はほとんどいらっしゃらないと思います。

 

『歯を残すこと』と『歯を治すこと』は違う

患者さん目線だとどちらも同じ意味に感じるかもしれませんが、実はこの意味は全く異なります。

 

『歯を残すこと』=歯がどんな状態でも抜かないこと

『歯を残すこと』の例としては以下のような例えがあります。

・①大きな虫歯になり歯の頭がなくなり治療不可能な状態だが、そのまま放置しておく。
・②歯の根が真っ二つに割れてしまっており、治療は行えないが抜歯を行わずおいておく。
・③重度歯周病により歯を支える骨が完全に溶けてしまいグラグラしているが、自然と抜けるまで放置しておく。
・④虫歯になっている歯があるが、歯がすでに薄くなっており治療を行うと抜歯になるかもしれないのでそのままおいておく。
・⑤以前はよく腫れたり膿がでていたが、今は膿などもでていないので定期検診で様子を見ておく。

このような状態でも抜歯を行わず様子を見るのかな?と思われる方もいらっしゃると思いますが、実際には患者さんによってはこのような選択を行う方も少なからずいらっしゃいます。

 

上記のような状態で歯を残ことのメリットデメリットは以下のようなものです。

歯を残すことのメリット

歯を残すことが可能である(歯としては機能していない場合も含みます)。

歯を残すことのデリット

痛みなどの自覚症状などの改善は認められない。

それだけでなく、放置している歯が感染している場合には周囲の歯や組織にも悪影響が出る場合があります。

 

『歯を治すこと』=現在ある痛みや違和感の原因を除去して、再度同様の症状がでないようにする。

 

『歯を残すこと』と『歯を治すこと』は大きく異なります。

実際に『歯を残すこと』であげた5つの例に対する『歯を治すこと』の対応は以下のようなものになります。

・①大きな虫歯があり、神経の処置が必要な可能性があるが、きちっと虫歯の処置を行う。
・②歯の根が真っ二つに割れてしまっているため、将来的に腫れたり痛みが出ないように抜歯を行う。
・③重度歯周病により歯を支える骨が完全に溶けてしまいグラグラしており、隣の歯に悪影響がでないように歯を抜く選択をした。
・④虫歯になっている歯があるが、歯がすでに薄くなっており治療を行うと抜歯になる可能性があるが、将来のことを見据えて治療を行う。
・⑤以前からよく腫れたり膿がでていた歯があったので、治療を行った。

歯を治すことのメリット

しっかりと治療を行うことで、痛みや違和感がなくなる。将来的に痛みや膿む可能性が取り除ける。

歯を治すことのデリット

治療を開始することで、歯の保存ができないという場合がある。

このように、『歯を残すこと』と『歯を治すこと』には違いがあるのです。

 

この2つの選択肢だと『歯を治すこと』の方が、よく思えるかもしれません。

しかし例えば、ほぼ痛くないもしくはちょっと痛いぐらいの歯があり、歯科医師の診療を受けたところ「実は状態が悪く、抜歯かもしれません」と診断されたら、皆さんは『残す』と『治す』どちらを選択するでしょうか?

将来の歯の状態悪化や周囲組織への悪影響を考えて早めに治療するも一つ、そこまで困っていないから、痛みが限界になってから治療するか待つのも一つ。

明らかに治療をした方が良いケースもありますが、最終的には、患者さん個人の価値観でどちらを選択するかが決まります。

 

大切なのは『自身の歯の現状を知る』ことだと思います。

「たいして痛くないから」という理由で、自己判断で歯科を受診せず放置した結果、歯がどうにもならなくなってしまう方も多いです。そのような状態から、『よく噛める』『見た目が綺麗』など、健康な状態にするには、時間も治療費も膨大にかかります。

そして、歯科治療はいくら投資をしても『再生ではなく修復』に過ぎません。二度と、昔の状態には戻らないのです。

ご自身の歯の状況だけは、必ず把握しておきましょう。

 

このように間違った自己判断により歯を治療するタイミングを逃さないように、歯科医院で定期的に歯のメンテナンスをしたり、歯の状態をチェックし続けてもらったりすることが大切です。

いぬきデンタルクリニックでは、歯のクリーニングをはじめとした正しい口腔ケアと丁寧な診療で、みなさんの歯を守ります。歯についてお悩みの方はぜひ一度、いぬきデンタルクリニックにご相談ください。

 

監修者情報

歯科医師(院長) 井貫 幸一

歯科医師(院長) 井貫 幸一

歯科医師(院長) 井貫 幸一

  • 2013年 東北大学歯学部卒業 歯科医師免許取得
  • 2022年 いぬきデンタルクリニック 開業

患者さまの生涯にわたりお口の健康を維持し、笑顔あふれる生活をサポートできればと考えております。
お口のことでお悩みの方もそうでない方も是非一度お気軽にご相談ください。

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