歯の神経の治療期間について

こんにちは。

いぬきデンタルクリニック院長の井貫です。

今回は歯の神経の治療期間についてお話ししていきます。

 

歯の神経の治療はなぜ必要になるのか?

 

歯の神経の治療という言葉を聞いたことがある方もいるのではないでしょうか?

まず歯というのは一番外側にエナメル質、その内側に象牙質、

さらに内側に歯髄(しずい)=神経といった3層構造をしています。

①エナメル質

エナメル質は歯の一番外側の部分です。厚さは分厚い部分で2㎜程度で、薄い部分だと1㎜にも満たない薄い組織です。しかし、とても硬く、人間の体の中で最も硬い部位です。このエナメル質があるために、人間は様々な硬いお食事を食べれるのです。実際に歯を削る器具にはダイヤモンドの粒子がくっついており、それでなければ歯が削れないぐらいエナメル質は硬い部分なのです。

またエナメル質は温度などの様々な刺激から歯髄を保護しています。つまり、エナメル質がなくなると少し冷たいものなどでも歯がしみる可能性が高くなります。

 

②象牙質

象牙質はエナメル質の内側にある、エナメル質より柔らかい組織です。象牙質の中には小さな穴が開いており、その穴より神経までの刺激が伝達されると言われています。

象牙質はエナメル質と比較すると柔らかいのですが、この柔らかい組織がエナメル質を内側から支えることで硬いエナメル質が割れたり、欠けたりしない大変優れた構造になっていると言われています。

しかし一度エナメル質が何かしらの原因(虫歯、咬耗など)でなくなり、象牙質が剥き出しになってしまうと、歯が摩耗するスピードは5〜6倍程度早まると言われています。

また象牙質にが剥き出しになると歯髄へダイレクトに刺激を伝達することになるので、少し冷たい物でもしみる感覚が出てしまいます。

 

③歯髄(しずい)

『歯髄=歯の神経』です。この歯髄はエナメル質、象牙質の内側にあり、外から守られた状態になっています。歯髄は歯の神経の塊になるので剥き出しの状態になってしまうと強い痛みを感じることになります。

歯髄があるため歯のしみるや痛いなどの感覚があるのです。

エナメル質・象牙質と歯髄の大きな違いは、「感覚を感じるか感じないか」「血流があるかないか」です。

特にこの「血流があるかないか」は非常に重要です。血流の中には白血球などの細菌を退治する人間の免疫機構があります。つまり、エナメル質・象牙質には免疫機構はなく歯髄には免疫機構があるのです。

このため一度歯の神経を抜く治療を行うと、歯に対する免疫機構はなくなり、細菌が歯の中の入ると容易に感染を起こしやすくなります。

これが歯の神経を抜いた後に再度根っこの先が膿むなど症状がでる理由です。

このため我々歯科医もなるべく歯の神経の治療は行いたくない治療の一つなのです。

 

にもかかわらず、なぜ神経の治療が必要になるのでしょうか?

 

神経の治療が必要になる原因

①虫歯

一度も歯の神経の治療を行っていない歯の神経の治療が必要になる原因は圧倒的に虫歯です。

一度歯が虫歯になってしまい、治療を行わないとどんどん虫歯が大きくなり、最終的には虫歯と歯の神経がつながってしまいます。そうなると虫歯のバイ菌が神経の中に入り込んでしまうので、歯の神経を抜く以外方法がなくなります。

 

②歯を強くぶつけたりした

歯を強くぶつけたり、強い衝撃が加わった歯の神経が壊死する場合があります。これは強い衝撃が加わった結果なのですが、歯の神経が壊死すると、段々と歯が茶色く変色する、根っこの先で膿がたまるなどの問題が出てきます。このため、歯の神経の治療が必要になるのです。

 

③知覚過敏

知覚過敏が起こる原因は様々ですが、基本的には歯の神経が興奮した状態になることで、少しの刺激でもしみるようになってしまう状態です。通常であれば、神経の興奮は徐々に落ち着くのですが、稀に落ち着かない場合もあります。

このような場合には、神経を抜く以外に症状を抑えることができない場合があります。

 

このように、歯科医師もなるべく神経の治療を行いたくないのですが、それでもどうしても神経を抜く治療が必要になる場合があるのです。

 

歯の神経の治療に時間がかかる!?

では実際の治療はどのようなことをするのでしょうか?

簡単に説明すると、歯の頭に大きな穴を開けて、神経の管の中(歯の根っこ)を消毒します。

消毒が終わった後には、根っこの中に細菌が繁殖できないようにしっかりと蓋をして、被せ物の治療に移っていきます。

 

歯の中はほとんど見えない

しかし、ここで問題となるのが、神経の中をお掃除しようにも神経の管の中がほとんど見えないということなのです。

ある論文によると肉眼では根っこの入り口を16%も見落とすのに対して、マイクロスコープなどを使用すると根っこの入り口の見落としが7%まで低下すると報告されています。また様々な研究によると根っこの中はどれだけ綺麗にできても50%程度とも言われています。つまり肉眼では根っこの中がほとんど見えていないのです。

このため、根っこの中をきちっと洗浄するためにはマイクロスコープ(歯科用顕微鏡)などを使用する必要性があります。

マイクロスコープを使用することで歯の根の中をより詳しく見れるため、治療の成功率にも左右するのです。

しかし、マイクロスコープきっちりと使用して神経の治療を行うためには、大変細かい作業になるため、どうしても治療の期間がかかってしまいます。また、一度の治療時間も長くなるため、患者様がお口を開けているのが辛くなるため、治療の回数を分けるしかないのです。

 

このように歯の神経の治療の期間は一概には何回かかるとは言えないのですが、当院では通常2〜3回程度の神経の消毒が必要になることが多いです。

また治療回数が複数回かかっているのに全然治らないなどの症状がある場合には、もしかすると神経の治療単独では治らないぐらい症状が良くないのかもしれません。

一般的には神経の治療は数回行いそれでも治らない場合には外科的歯内療法(歯の歯根を切除するなどの治療)なども検討する必要性があることが多いのです。

 

当院の根管治療

当院の根管治療はラバーダム防湿をしっかりと行い、できる限りマイクロスコープなど使用して精密で欧米式にならった根管治療を行っております。

もし、歯の根っこの治療でお悩みの方は是非当院までご連絡ください。

 

当院の根管治療について詳しくはこちらへ

https://www.inuki-dc.com/root.html

 

 

監修者情報

歯科医師(院長) 井貫 幸一

歯科医師(院長) 井貫 幸一

歯科医師(院長) 井貫 幸一

  • 2013年 東北大学歯学部卒業 歯科医師免許取得
  • 2022年 いぬきデンタルクリニック 開業

患者さまの生涯にわたりお口の健康を維持し、笑顔あふれる生活をサポートできればと考えております。
お口のことでお悩みの方もそうでない方も是非一度お気軽にご相談ください。

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