『インプラントに興味はあるけれど、歯茎を切ったり骨に穴を開けたり、絶対に痛いだろうし怖いから私には無理です…』
抜歯を宣告されてその後の治療をいろいろと検討しているけれど、インプラントは痛みや恐怖感があって迷っている、という方は多いのではないでしょうか?実際に当院にご来院くださった患者様方からも、インプラントの痛みに対する不安の声を伺うことは多いです。
そこでこのページでは、インプラントの痛みについて、いつ痛みが生じるのか、どうすれば痛みを最小限にできるのかといった内容をご説明します。
兵庫県明石市のいぬきデンタルクリニックでは、抜歯窩温存療法や抜歯即時インプラントなどを活用し、インプラントの痛みを軽減することに取り組んでいます。痛みと腫れの少ないインプラント治療を行いたい、他院で抜歯を宣告されてインプラント治療で信頼できる医院を探している、という方はぜひ一度当院のインプラント個別無料相談にお越しください。
インプラント治療は痛いのか?
結論から申し上げると、インプラント治療を完全に無痛で行うことはできません。インプラント治療の際には必ず痛みが伴います。
痛みがある治療というと、「抜歯」や「歯を削る」といった治療が思い浮かぶのではないでしょうか。これらの治療には『お体に傷をつけている』という共通点があります。つまり痛みがある治療とは、『体に大きなダメージ』ができる治療と言えます。
では、インプラント治療ではどうでしょうか?インプラント治療も少なからず体に傷を加える治療であることには間違いありません。このためインプラント治療を完全に無痛で行うことは不可能です。
だからといって心配しすぎる必要はありません。インプラント治療で痛みが生じるタイミングはある程度決まっており、それぞれのタイミングごとに、痛みを軽減するための方法が存在しています。
最大限に痛みを感じないように治療を行えば、インプラント埋入の手術後に痛み止めの服用すら必要ないほどに、痛みを軽減できるようなケースもあります。
痛みの原因をタイミングごとに解説
インプラント治療で痛みを感じるタイミングは、大きく分けて3つあります。
- ①インプラント手術の際の痛み
- ②インプラントの付帯手術の際の痛み
- ③インプラントの治療後の痛み
それぞれのタイミングで複数の要因によって痛みを感じますが、それぞれ適切な対処によって痛みを軽減できる場合があります。以下で引き続き解説します。
①インプラント手術による痛み
インプラントの埋入に関わる手術のタイミングで、痛みを感じる要因が複数あります。それぞれなぜ痛みを感じるのか、痛みを軽減する方法はあるのかご説明します。
- 1.麻酔をする際の痛み
- 2.歯肉の切開による痛み
- 3.骨を削ったことによる痛み
手術中は麻酔が効いているため、痛みを感じることはほとんどありません。術後の痛みに関しては、2日〜3日程度でおさまるケースが多く、痛みの程度は痛み止めを服用すれば抑えられるのが一般的です。
1.麻酔をする際の痛み
インプラント手術の際に感じる痛みとして、麻酔の針を刺す痛みが挙げられます。基本的には極細の針を使用し、表面麻酔も使用するため、そこまで痛みはありませんが、針を刺すことへの恐怖感が問題になる場合があります。
そういった際には笑気麻酔などリラックスして恐怖感を感じにくくするための麻酔を併用できる場合もあるので、あまり心配しすぎる必要はありません。
2.歯肉の切開による痛み
術後の痛みや腫れの主な原因が、歯肉の切開です。インプラントの埋入の際には、歯肉を切開して歯槽骨から剥がします。歯肉には粘膜と骨膜があり、骨膜を歯槽骨から剥がしますが、骨膜に傷がつくと痛みが強くなります。
歯肉の切開の技術や歯槽骨から骨膜をうまく剥がせるかどうかは、歯科医師の技量による部分が大きく、術後の痛みの大小に繋がります。
3.骨を削ったことによる痛み
インプラントを埋入するための穴を歯槽骨に開ける際には、専用のドリルを使って歯槽骨を徐々に削ります。この際にドリルの圧力が熱に変換されてしまい歯槽骨が火傷するのを防ぐために、患部に生理食塩水を注入して冷やしながら、温度が上がらないようにゆっくり丁寧にドリルを使用します。この際になんらかの理由でドリルの温度が上がりすぎて歯槽骨が火傷してしまうと、術後に痛みが生じることがあります。
②追加で必要になる手術による痛み
インプラントを埋入する際に、歯肉の退縮が見られたり、骨が痩せていたり足りない場合には、それぞれ歯肉を増大させる治療、骨を増やす治療を行うことがあります。これらの治療を行う場合は、通常のインプラント治療よりも痛みが大きくなります。
- 1.骨造成や骨移植の痛み
- 2.歯肉の移植の痛み
1.骨造成や骨移植の痛み
インプラントを埋入する箇所の骨が痩せていたり不足している場合、骨造成や骨移植といった治療が必要になります。骨造成は骨補填剤などを使用して骨を増やす手法、骨移植はご自身の骨を採取して移植を行います。
どちらの治療も歯肉を大きく切開するため痛みを伴いますが、特に骨移植を行う場合は骨を採取した箇所にも傷ができるため、痛みを感じる部位が2箇所に増えて痛みを強く感じやすくなります。また、骨造成や骨移植を行なった場合には必ず、減張切開という特殊な切開を行います。この切開を行うと腫れ、内出血や痛みなどをともなうことが大きくなります。
2.歯肉の移植の痛み
歯肉の量が足りない場合には、歯肉の移植が必要になります。骨移植と同様に歯肉の移植も歯肉を採取した箇所、移植した箇所の2箇所に傷ができてしまいます。多くの患者様は移植部はあまり痛くないとおっしゃいますが、移植片を採取する部位(多くが口蓋部)は術後痛いとおっしゃることが多いです。
このような場合はシーネというマウスピースのようなものを装着することで痛みを和らげることができます。
③インプラント治療完了後の痛み
インプラント治療完了後に痛みが生じた場合には、何か問題が起きている可能性が非常に高くなります。この場合は、痛みの軽減などを考えるよりも先に、痛みの原因を解決するためにインプラント治療を行った医院で一度検査を受ける必要があります。
- 1.インプラント周囲炎による痛み
- 2.上部構造に問題が起こっていることによる痛み
1.インプラント周囲炎による痛み
インプラント治療後にしっかりとブラッシングが出来ていなかったり、定期的なメンテナンスやクリーニングを受けていないと、インプラントの周辺に歯石が付着し衛生環境が悪化します。結果として歯周病とよく似たインプラント周囲炎と呼ばれる症状を発症します。
インプラント周囲炎を発症すると、歯茎から膿が出たり出血するほか、歯槽骨が溶けてインプラントがグラグラし始め、最後にはインプラントが脱落してしまいます。当然進行すれば痛みも生じるため、インプラント周囲炎を発症しないためにも丁寧なお手入れが重要です。
2.上部構造に問題が起こっていることによる痛み
上部構造に問題がある場合にも痛みが生じる場合があります。インプラントの上部構造は非常に硬い材料で作製されていることが多いですが、経年的に咬合力(咬む力)を受けることで、割れる、欠ける、緩むなどのトラブルを生じることがあります。このような場合には欠けた破片などが、インプラントの周りの組織を刺激して痛みが生じる場合があります。
インプラント治療の痛みを軽減する方法
インプラント治療の痛みを軽減するためにはさまざまなポイントがあります。大別すると、以下のポイントに着目することで、インプラント治療の痛みを最小限に軽減することができるはずです。
- ①技術力の高い歯科医師の元で治療を受ける
- ②短い時間で丁寧な治療を行う
- ③痛みの少ない(低侵襲な)インプラントの術式で治療する
- ④歯茎の切開をできる限り最小限にする
- ⑤骨造成や歯肉の移植をせずに済むように対処する
それぞれ解説します。
①技術力の高い歯科医師の元で治療を受ける
インプラント治療の痛みを軽減するためには、歯科医師の技術力や治療への精通度が重要です。例えば麻酔を行う際にも、麻酔の注入速度をゆっくり一定に保つことで、痛みを軽減できるといったコツがあり、歯科医師の腕に委ねられます。
また痛みの原因になりやすい歯肉の切開ですが、上述した通り骨膜を歯槽骨から剥がす際に傷をつけないように剥がせるかどうかは、歯科医師の技術による部分が大きいです。このようにインプラント治療の痛みを軽減するためには、インプラントに精通した技術力の高い歯科医師の元で治療を受けることが大切です。
②短い時間で丁寧な治療を行う
治療時間が延長するとその分お体の負担は大きくなり、痛みが出る可能性が高くなります。以下の要素が揃うことで、治療時間の短縮につながります。
- ⅰ)事前にしっかりとインプラント埋入部位をシミュレーションする
- ⅰi)サージカルガイドを使用する
- ⅰii)治療の技術
当院ではインプラント埋入に先立ち、必ずシミュレーションを行い、状況に応じてサージカルガイドを使用して、患者様の術後の状態が少しでも良くなるように心がけております。
また、治療時間を短縮するためとはいえ、治療部位を乱暴に扱うと、『歯肉が挫滅してしまったり』『骨が火傷を負ってしまう』などのトラブルが発生する可能性があります。こういったトラブルを発生させないためには、歯科医師の技術力と丁寧な治療がポイントになります。
『丁寧な治療』と『治療時間の短縮』は相反する部分もありますが、それぞれのバランスを鑑みて、的確に丁寧に素早く治療を行うことで、インプラント治療をできるだけ低侵襲で行うことが可能となります。
③痛みの少ない(低侵襲な)インプラントの術式で治療する
実はインプラントの埋入方法は複数あり、術式によって痛みの大小が異なります。具体的には、なるべく歯肉を切開しない術式でインプラントを埋入することで、痛みが少なくなります。
1.フラップレスインプラント
通常のインプラント治療の際には歯肉を歯槽骨から剥がす必要があり、これにより痛みや腫れが長期間続きます。対してフラップレスインプラントは歯肉を切開せずに、インプラントの埋入を行うのに必要最小限の小さな穴を開けて埋入するため、歯肉と歯槽骨を剥がすこともなく、歯肉にダメージがほとんどありません。
そのためフラップレスインプラントは術中の出血も少なく、術後の痛みや腫れもほとんどない、痛みの少ない治療方法として知られています。麻酔が切れた後も、痛み止めが必要ない患者様もおられます。
2.抜歯即時インプラント
抜歯即時インプラントは、抜歯と同時に抜歯窩にそのままインプラントを埋入する術式です。こちらも抜歯によって歯槽骨が露出するため、歯肉を切開する必要がなく、痛みの少ない治療として知られています。ただしこの方法は、すでに歯を失ってしまっている箇所に対しては行えません。
④歯茎の切開をできる限り最小限にする
インプラントを埋入する部位は歯茎の下にある『骨』です。このため、通常の方法ではインプラントを埋入するにあたり歯茎を切開し、『骨』が見える状態にすることでインプラントを安全に埋入することが可能となります。
しかしこの歯茎に切開を加える処置はお体に非常に大きなダメージを与えます。このため、大きく歯茎を切開するとお痛みが出やすくなります。
ただインプラントを埋入するにあたり、サージカルガイド(インプラント手術の指標)を使用することで、歯茎の切開を最小限に抑えながら安全に適切な位置にインプラントを埋入することが可能です。
当院ではできる限り安全で低侵襲な治療を行うために、サージカルガイドを必要に応じて作製しております。
⑤骨造成や歯肉の移植をせずに済むように対処する
インプラント治療の際に、骨造成や歯肉の移植が必要になる場合は多々あります。これらの処置は、通常のインプラント治療と比較すると、圧倒的にお体にダメージが大きいため、痛みが出る可能性が高くなります。これらの治療を行わずに済むように事前に対処しておくことで、インプラント治療に伴う痛みを軽減することができます。
1.状態の悪い歯を放置しない
状態の悪い歯(歯周病や虫歯が酷い歯)を放置しておくと、その歯が感染源となり周りの歯槽骨が溶ける場合があります。大きな炎症や感染がある場合、そのような歯を抜歯した後、大きく骨が吸収してしまうことあります。このため状態の悪い歯を放置しすぎることは決していいこととは言えないのです。
2.抜歯後に患部を長期間放置しない
抜歯後に患部を放置した期間が長くなればなるほど、骨が痩せたり歯肉が退縮してしまいます。人体には廃用性萎縮という作用があり、使用されていない組織は徐々に萎縮します。抜歯したことにより、刺激が与えられなくなった歯槽骨や歯肉は、高い確率で萎縮してしまうため、結果として骨造成や歯肉の移植といった、痛みの伴う治療が必要になってしまいます。
3.抜歯窩温存療法(ソケットプリザベーション)で骨の減少を予防する
抜歯後に骨の減少を防ぐための対処として、当院では抜歯窩温存療法(ソケットプリザベーション)を行っております。ソケットプリザベーションとは歯を抜くのと同時に、抜歯した穴に人工の骨を足すことで少しでも骨が吸収しにくくなるような治療です。
ソケットプリザベーションを行えば、抜歯後すぐにインプラントなどの治療を行えない場合でも、骨の減少やそれに伴う歯肉の萎縮を軽減することができます。ただしこの治療は、抜歯を行ってから期間が長く空いてしまっている場合には適用できません。そのためどの歯科医院で抜歯を行うかも、インプラント治療に伴って生じる痛みの強弱に影響してきます。
実際インプラント治療は痛いのか?
インプラント治療の痛みを軽減する方法などご紹介しましたが、実際にはインプラント治療は痛いのでしょうか?
私自身がインプラント治療を受けたわけではないので、あまり痛くないとは言えないのですが、実際の臨床で患者様からお聞きする言葉としては以下のようなものが多いです。
- 「あまり痛くなかった。」
- 「抜歯の方が痛かった。」
- 「痛み止めで抑えれる程度だった。」
ある論文では、インプラント治療後の痛みと抜歯による痛みを比較したものがありましが、インプラント治療の方が痛みが少なかったという報告がありました。つまり『骨を足す治療』を伴わないインプラント治療は、痛みに関してはあまり強くないのです。
まとめ:痛みの強い治療をせずに済むような対処が重要
このページではインプラント治療の痛みについて解説しました。インプラントは外科手術を伴うため、とにかく痛そう、怖い、というイメージが先行していて治療に踏み切れないという方も多いかと思います。
前述した通りどれだけ丁寧に治療を行ったとしても、痛みを完全に抑えることはできません。
しかし痛みの原因を把握した上で、しっかりと対処することで、痛みを最小限に抑えることは可能です。特に痛みが少なく済むようなケースであれば、術後に麻酔が切れても痛み止めすら必要ないという患者様もおられるほどです。
兵庫県明石市のいぬきデンタルクリニックでは、抜歯窩温存療法や抜歯即時インプラントなどを活用し、インプラントの痛みを軽減することに取り組んでいます。痛みと腫れの少ないインプラント治療を行いたい、他院で抜歯を宣告されてインプラント治療で信頼できる医院を探している、という方はぜひ一度当院のインプラント個別無料相談にお越しください。
監修者情報
歯科医師(院長) 井貫 幸一
- 2013年 東北大学歯学部卒業 歯科医師免許取得
- 2022年 いぬきデンタルクリニック 開業
患者さまの生涯にわたりお口の健康を維持し、笑顔あふれる生活をサポートできればと考えております。
お口のことでお悩みの方もそうでない方も是非一度お気軽にご相談ください。