ブラックトライアングルの原因や予防・治療法|歯列矯正が原因って本当?

ブラックトライアングルの原因や予防・治療法|歯列矯正が原因って本当?

『ブラックトライアングルは治療した方がいいんでしょうか?』
『歯列矯正したらブラックトライアングルができるって本当ですか?』
『ブラックトライアングルの予防方法があるなら知りたい』

ブラックトライアングルとは歯と歯の隙間の歯肉との間に大きく隙間が空き、黒く三角形のように見える部分のことを言います。
前歯部のブラックトライアングルは非常に目立ち、ブラックトライアングルについてのご相談もいただくことがあります。

ブラックトライアングルは矯正治療後、歯が綺麗に並ぶと目立つことがあり、矯正治療を検討されている患者様からブラックトライアングルが術後目立つようになったら心配というお声を伺う機会もあります。

そこでこのページでは、兵庫県明石市で歯列矯正治療手がけている当院いぬきデンタルクリニックが、ブラックトライアングルについて原因や予防法、治療法、矯正治療とブラックトライアングルの関係などについてご紹介します。

いぬきデンタルクリニックでは、矯正治療を通じてお口元のコンプレックスを解消し、お口の機能的な問題も同時に解決することで患者様のお口の健康を長く保つお手伝いをしております。

明石でインビザライン|42万円〜|いぬきデンタルクリニック

ブラックトライアングルとは

ブラックトライアングルとは

歯と歯の隙間と歯肉に囲まれた三角形の部分を、歯科の専門用語で『下部鼓形空隙』と言います。この下部鼓形空隙が様々な原因で、大きくなると、隙間が目立ち、向こう側が見えてしまい、黒い三角形の隙間があるように見えるようになります。

このような状態になった場合に一般的に『ブラックトライアングル』と言います。

下部鼓形空隙が大きくなることはあるのですが、実際にブラックトライアングルとして目立つ部分は基本的に前歯部になります。

このため審美性の観点からブラックトライアングルが生じている場合には気にされる方は多いです。

ブラックトライアングルは治療するべき?

では、実際にブラックトライアングルは治療すべきなのでしょうか?

これは患者様がどれだけ、ブラックトライアングルを気にされているかによるため、非常に回答が難しい質問です。

というのも、ブラックトライアングルは直接的に健康面に問題を及ぼすことは、ほとんどありません。このため審美的に気にならないのであれば、基本的には積極的に治療する必要はありません。

このため、ブラックトライアングルの治療は基本は審美性の改善のための治療という側面が非常に強いため、原則として保険適用で行うものではなく、自費治療になる場合が多いかと思われます。ただこれに関しても治療該当部位の虫歯の有無などにも左右されるため、お口の中を精査させていただく必要性があります。

このようにブラックトライアングルは直接的には健康面に大きな問題を引き起こす可能性は低いのですが、場合によっては、この隙間に食べ物が挟まったり、うまくブラッシングできずに汚れが溜まりやすくなってしまい、間接的に歯周病や虫歯の原因になる場合もあります。

以上を踏まえると、冒頭の『ブラックトライアングルは治療するべきなのか?』という質問については、審美的に非常に気になる場合には積極的な治療を検討する必要性がありますが、そうでない場合には大きな問題はないため、様子を見るのも一つです、というのが私の回答になります。

もちろん実際に診察した結果、食べ物が挟まりやすく汚れが溜まりやすい形態になっており、治療をお勧めするようなケースもあります。

ブラックトライアングルができる原因

以下にブラックトライアングルができてしまう原因を列挙します。

  1. ①加齢
  2. ②歯周病
  3. ③間違ったブラッシング
  4. ④先天的に歯肉や歯槽骨が薄い
  5. ⑤先天的な歯の形

 

以下でそれぞれ詳しくご説明します。

①加齢

①加齢

ブラックトライアングルの主な原因は歯と歯の間の歯肉が退縮することで隙間が大きくなることがほとんどです。歯と歯の間の歯肉のことを『歯間乳頭』と専門的には言います。この歯間乳頭の高さが下がることで、歯と歯の間の隙間が大きくなってしまいます。

基本的には歯間乳頭の高さは、『歯槽骨という歯を支えている骨の高さ』、『歯肉の厚み』、『歯と歯の間の距離』などにより決定されると言われています。

しかし、一般的には加齢とともに、この大事な歯槽骨の高さや歯肉の厚みが減少すると言われています。

このように歯槽骨が低くなり、歯肉の厚みが薄くなるのに伴って、歯間乳頭の位置も低くなり、ブラックトライアングルが生じると言われています。一般的に歯槽骨や歯肉の退縮は30代〜40代頃から生じ始めるため、それくらいの年代の方は自然とブラックトライアングルが目立ち始めることがあります。

②歯周病

歯周病や歯肉炎が進行すると、徐々に歯周組織が破壊されていきます。

歯周組織の破壊が進むと、歯肉の下にある、歯槽骨まで破壊されてしまい、加齢の際と同様に歯槽骨が吸収された状態になってしまいます。

このため、歯周病や歯肉炎が進行すると歯間乳頭もそれに伴って退縮し、ブラックトライアングルが生じます。

歯周病の症状の一つとして、歯肉の腫れがあります。このため、重度に歯肉が腫れている場合には、本来であればブラックトライアングルが生じているぐらいの歯槽骨の吸収がある部分が、歯肉の腫れによって歯間乳頭が高くなり、あまりブラックトライアングルが目立たないことがあります。

このため歯周病が進行した患者様では、歯周治療を行って歯肉の腫れが改善されて歯肉が引き締まると、逆に、歯間乳頭の位置が下がり、ブラックトライアングルが目立つような場合もあります。

③間違ったブラッシング

③間違ったブラッシング

日々の歯磨きの際に間違ったブラッシングをしてしまうと、ブラックトライアングルが生じることがあります。

例としては、自分の下部鼓形空隙のサイズにあっていない大きい歯間ブラシの使用や、デンタルフロスを無理やりやるなど、間違ったブラッシングを行うと、歯間乳頭が下がり、結果としてブラックトライアングルが目立つようになる場合があります。

④先天的に歯肉や歯槽骨が薄い

歯肉や歯槽骨の厚みは、患者様それぞれで、厚みが異なります。

例えば、

『歯槽骨が生まれつき薄く、歯肉退縮を起こしやすい方』

『歯肉に生まれつき厚みがなく、歯肉退縮が起きやすい方』

などは、ブラックトライアングルが生じやすい傾向にあります。

⑤先天的な歯の形

一般的に歯の形は3つのタイプがあると言われています。オボイドタイプ、テーパータイプ、スクエアタイプの3つが基本の形と言われています。

それぞれで歯の形態的な特徴があるのですが、特にテーパータイプの歯の形は先端から歯頚部(歯と歯肉の境目の部分)にかけて、くびれた形をしており、他の歯の形態よりもブラックトライアングルが生じやすいと言われています。

歯列矯正が原因でブラックトライアングルができる?

歯列矯正が原因でブラックトライアングルができる?

歯列矯正が原因でブラックトライアングルができるという話を聞いたことはありますか?

実は歯列矯正を行うと、ブラックトライアングルが生じてしまう場合があります。原因はさまざまですが、よくある例としては、ガタガタした歯並び(叢生)の矯正を行った場合が挙げられます。

ガタガタした歯並び(叢生)の矯正でブラックトライアングルができるケース

叢生(歯と歯が重なり合いガタガタした歯並び)を矯正する場合には、矯正治療後にブラックトライアングルが生じることがあります。

この原因としては、歯と歯が重なり合っている部分は歯槽骨が、他の部位と比較すると薄くなっていることがあります。矯正治療を行って歯と歯の重なりが解消された後も、歯槽骨が少ない状態は改善されません。結果的に矯正治療が終わって歯が綺麗に並んだ後に、歯槽骨が少ない部分の歯肉が退縮し、ブラックトライアングルが生じる原因となります。

また歯と歯が重なっていると、実際に歯間乳頭が下がっていても、歯が重なっているため、矯正治療前には気づきにくいのも一つの原因です。

歯列矯正の結果として歯周病が改善されてブラックトライアングルができるケース

もう一つ挙げられるのが、歯列矯正の結果として歯周病が改善されてブラックトライアングルができるケースです。

歯列矯正を行い歯並びが綺麗になった結果、口腔内の清掃性が上がると、歯周病の症状が改善されることがあります。

歯周病が改善されると、歯肉の腫れが落ち着き、ブラックトライアングルが生じる場合があります。

ブラックトライアングルの予防法

ブラックトライアングルの予防法

ブラックトライアングルを予防するために、ご自身でできる最も簡単で重要なことが、適切なブラッシングを行うことです。

ブラックトライアングルの原因でご紹介した通り、日々の歯磨きの際に間違ったブラッシングをしてしまうと、ブラックトライアングルが生じることがあります。

大きい歯間ブラシの使用や、デンタルフロスを無理やりやるなど、間違ったブラッシングを行うと、歯間乳頭下がり、ブラックトライアングルが目立つようになる可能性があります。

また、歯磨きをしっかりと行えず、プラークが溜まり、歯周病が進行してしまった場合にも、歯間乳頭が下がる原因にもなります。

このためブラックトライアングルを予防するためには、適切なブラッシングを行い歯周病を予防することが重要です。

もしブラックトライアングルが目立つようになった場合には自然に治ることはないので、丁寧にブラッシングを行い、できれば歯科医院で定期的なクリーニングを受けることをお勧めします。

ブラックトライアングルの治療方法

ブラックトライアングルの治療方法

一度目立つようになったブラックトライアングルは再度歯肉が再生し、自然に治るものではないため、ブラックトライアングルを改善したいという場合には、歯科医院で治療を受ける必要があります。

基本的にはブラックトライアングルが目立つようになった場合には以下のような治療法が挙げられます。

  1. ①矯正治療中の対応(IPR(歯の形態の修正))
  2. ②ダイレクトボンディング
  3. ③ラミネートベニアやクラウンによる治療
  4. ④CTG(結合組織移植術)

以下に詳しく治療法の説明を行います。

①矯正治療中の対応(IPR(歯の形態の修正))

IPRとは矯正治療中に歯と歯の間を磨き、歯の形態を修正することを言います。

前述した通り、ブラックトライアングルの原因として歯の形態が挙げられます。

このため、歯と歯の間を磨くことで、歯の形をより四角い形態にし、削ったスペースを矯正治療で埋めることで、歯と歯の間が埋まり、ブラックトライアングルが目立ちにくくなります。

②ダイレクトボンディング

ダイレクトボンディングとは、コンポジットレジン(歯科用のプラスチック)をブラックトライアングルの隙間に詰める治療方法です。

近年のコンポジットレジンは歯と調和するような色調を再現することが可能で、技術がある歯科医師が治療を行なった場合にはダイレクトボンディングにて治療を行なった部位がほとんどわからないほど、自然な見た目に治療することが可能です。

ダイレクトボンディングの利点としては、一度の治療でブラックトライアングルを改善できる点が挙げられます。

使用するコンポジットレジンはセラミックと比較すると経年劣化や着色することがあるというデメリットがあります。

近年のコンポジットレジンの中にはナノフィラーと言われる、小さなガラスの沢山含むことで、経年変化が少ないものもありますが、多くが5年〜10年程度すると少し変色してくる場合がほとんどです。

③ラミネートベニアやクラウンによる治療

上述したダイレクトボンディングは歯の切削をほぼ行わずに治療が可能ですが、状況によっては完全にブラックトライアングルを詰め切ることもできない場合もあり、技術的には非常に困難な治療です。

これに対して、ラミネートベニアとは薄いセラミックの付け爪のようなものを歯に接着させる治療です。またクラウンは歯に被せ物を行う治療のこと言います。

ラミネートベニアやクラウンなどの治療は歯の形態を大きく変えることができるため、ブラックトライアングルの改善を行うことができます。

ただ、クラウンによる治療は大きく歯を削るため、虫歯が大き、歯に大きな咬合力がかかるなどの場合でない限りは、ブラックトライアングルの改善のための治療としては、私はあまりおすすめしていません。

ラミネートベニアの場合も歯の切削は必要なのですが、クラウンと比較すると切削量は圧倒的に少ない治療となります。

このようにクラウンやラミネートベニアなどのセラミックによる治療はダイレクトボンディングと比較すると歯の切削が必要になりますが、経年的な劣化が少なく、着色などもしにくいものとなります。

また卓越した技工士さんが作製したクラウンやラミネートベニアはブラックトライアングルの改善を行えるだけでなく、天然の歯とほとんど分からないような色調や形態を再現することが可能です。

④CTG(結合組織移植術)

歯周病や加齢によって歯間乳頭が退縮してしまっているような場合に、歯肉を口蓋(上顎の部分)より移植する方法を結合組織移植(CTG)と言います。

結合組織移植を行うことですること歯間乳頭を再度回復させることで、ブラックトライアングルを改善することが可能な場合があります。

しかし、結合組織移植で完全に歯間乳頭を再建することは非常に困難であるため、症例の選択が必要です。

まとめ:ブラックトライアングルは人それぞれ適した治療方法が異なります

まとめ:ブラックトライアングルは人それぞれ適した治療方法が異なります

このページではブラックトライアングルは治療するべきなの?といった疑問から、ブラックトライアングルの原因や予防法、治療法などをご紹介しました。

ブラックトライアングルは直接的に健康面の問題があるものではありません。そのため一般的には、審美的に問題を感じている場合に治療を行うことが多くなります。

ブラックトライアングルの予防としては、歯間乳頭の退縮を起こさないことが重要ですので、適切なブラッシングを日々行うことが重要です。すでにブラックトライアングルが目立つ場合には、治療で改善することが可能ですが、治療方法は複数あるため、歯科医師と相談の元でご自身に適した治療方法を選択する必要性があります。

矯正治療後にブラックトライアングルができてしまうような場合では、ブラックトライアングルができた部位に対してIPR(歯の形態の修正)を行うことでブラックトライアングルをある程度、目立たなくすることは可能です。

矯正治療を検討されており、ブラックトライアングルについても考慮した治療を受けたいという患者様は、ぜひ当院にお問い合わせください。

兵庫県明石市で数多くの歯列矯正治療を行ってきた当院いぬきデンタルクリニックでは、矯正治療を通じてお口元のコンプレックスを解消し、お口の機能的な問題も同時に解決することで患者様のお口の健康を長く保つお手伝いをしております。

矯正治療を検討している方や、ブラックトライアングルを改善したいという方は、まずは一度当院までご相談ください。

明石でインビザライン|42万円〜|いぬきデンタルクリニック

監修者情報

歯科医師(院長) 井貫 幸一

歯科医師(院長) 井貫 幸一

歯科医師(院長) 井貫 幸一

  • 2013年 東北大学歯学部卒業 歯科医師免許取得
  • 2022年 いぬきデンタルクリニック 開業

患者さまの生涯にわたりお口の健康を維持し、笑顔あふれる生活をサポートできればと考えております。
お口のことでお悩みの方もそうでない方も是非一度お気軽にご相談ください。

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