『なぜ八重歯になるの?八重歯は放っておくとよくないのかな』
『八重歯は矯正した方が良いですか?』
『八重歯は抜いた方が良いの?』
歯並びのお悩みの中でも、八重歯でお悩みの方は少なくありません。当院にも八重歯の治療のためにご来院くださる患者様は多くおられます。八重歯はチャームポイントや可愛いといったイメージを持つ患者様も多いですが、噛み合わせや歯ブラシの行いやすさという観点では、いいものとは言えません。また日本では八重歯はチャームポイントというイメージもありますが、欧米では八重歯は歯列矯正で治療が必要な歯並びでチャームポイントというイメージははありません。
そこでこのページでは、兵庫県明石市で歯列矯正治療を手がけている当院いぬきデンタルクリニックが、八重歯について原因から治療方法まで詳しく解説します。
いぬきデンタルクリニックでは、矯正治療を通じてお口元のコンプレックスを解消し、お口の機能的な問題も同時に解決することで患者様のお口の健康を長く保つお手伝いをしております。
Contents
八重歯になる原因
八重歯になる原因としては、顎の大きさと歯の大きさのバランスが悪いことに起因します。
基本的には歯の大きさが顎の大きさと比較すると大きい場合に歯が並ぶスペースがなく、八重歯になると考えられています。元々日本人は欧米人と比較すると顎の大きさが小さく、欧米人と比較すると叢生の割合が多いと言われています。
基本的に顎の骨が小さくなり、永久歯の生えるスペースがなくなる原因としては以下のようなものが挙げられます。
遺伝的要因
顎の骨の大きさの成長は遺伝的要因が大きく関わっています。ご両親が顎が小さい方などはご自身も顎が小さくなりやすく、結果として歯が並ぶスペースがなく八重歯の原因となる場合があります。
また遺伝的な要因としてもう一つ挙げられるのが歯の大きさです。こちらも先天的な要因であることが大きく、先天的に歯が大きくなる要因がある方は、歯と顎のサイズのバランスが悪くなり八重歯の原因となる可能性があります。
後天的要因
後天的な要因として最も挙げられるのが、乳歯の虫歯です。乳歯に虫歯があると、虫歯により乳歯が溶かされてしまい、乳歯のサイズが小さくなります。乳歯のサイズが小さくなるとその後から生えてくる永久歯のスペースが足りなくなり、八重歯や叢生の原因となります。
また歯並びに対して悪い癖も八重歯や叢生の原因となりえます。
八重歯を放置すべきでない理由
基本的に八重歯は噛み合わせの観点ではあまり良いものではありません。また歯並びが良くない部分に関しては清掃性が悪くなるため虫歯などのリスクも上がります。
八重歯がある状態のデメリットとしては以下のようなものが挙げれられます
虫歯のリスクが上がる
基本的には八重歯がある状態は非常に歯ブラシを行いにくい状態となっています。このため、しっかりとブラッシングを行うことができずに虫歯のリスクが上がってしまいます。
歯周病のリスクが上がる
これは虫歯のリスクが上がることと同様の原因です。歯周病も歯に付着する細菌が原因のため、清掃性が悪くなることで歯周病のリスクが上がります。
清掃性が悪くなることで口臭の原因となる
こちらも上記二つの問題と同様で清掃性が悪くなり、結果として汚れが付着した状態が続き、口臭の原因となってしまいます。
周囲の歯への負担増加
八重歯と呼ばれる歯は、一般的には犬歯と呼ばれ前歯より数えて3番目の歯になります。実は犬歯はお口の中で最も歯根が長い歯です。
基本的に最も良い噛み合わせと言われているのが、奥歯がしっかり噛み合い、歯軋りした時には犬歯だけが当たる状態と言われています。しかし、八重歯の状態は犬歯が外側にあるため、下の犬歯と当たらず全く機能しない状態になっていることがほとんどです。
このため、本来犬歯が支えるべき噛み合わせの力をその他の歯が支えている状態になっています。この状態が長期間続くと周囲の歯への負担が増加し奥歯などに問題が発生する場合もあります。
口内炎
八重歯があると、ほっぺたを噛んでしまったり、傷つけてしまうことがあります。結果として口内炎のリスクが上がる可能性があります。
八重歯を矯正するメリット
八重歯を矯正することには、以下のようなメリットがあります。
- ・口元全体の見た目が改善され笑顔がより素敵になる
- ・虫歯や歯周病のリスクを軽減できる
- ・噛み合わせが改善される
口元全体の見た目が改善され笑顔がより素敵になる
八重歯があると笑った時やお口を開けた時に八重歯があることが目立ってしまいます。このため、患者様の中には八重歯が気になりにっこりと笑えない、人前で歯を見せておしゃべりできないといったコンプレックスを抱えている方もよくいらっしゃいます。
八重歯を矯正治療にて改善することで、歯並びが改善され、きれいな笑顔になることができ、人の目を気にせず笑うことができるようになります。
また八重歯があるとお口を閉じていても、八重歯のせいで唇が膨らんで見えてしまいます。これも矯正治療を行うことで改善することができ、お口を閉じている時の雰囲気も改善することができます。
虫歯や歯周病のリスクを軽減できる
上述した通り、八重歯は虫歯や歯周病のリスクとなります。八重歯を矯正治療で改善することで歯並びが良くなり、歯ブラシを行いやすい環境になります。
結果として、虫歯や歯周病のリスクを改善することができます。虫歯や歯周病のリスクが軽減することで、自分の歯を長期に渡り使える可能性が高くなります。
噛み合わせが改善される
上でも述べた通り、八重歯は犬歯と呼ばれる歯で噛み合わせに大きな役割がある歯です。八重歯の状態は基本的には犬歯が通常よりも外側にあり、下の歯と噛み合っていないことがほとんどです。
このため犬歯が噛み合わせに参加していな状態は、その他の歯に噛み合わせの力によるトラブルが起こる可能性が出てきます。
噛み合わせの力によるトラブルは様々なものがありますが、具体的には、以下のようなものが挙げられます。
- ・歯周病のリスクが上がる
- ・歯が欠ける、咬耗する、割れる
八重歯を矯正治療で改善することで、噛み合わせが改善され、このような将来起こるトラブルの回避につながります。
八重歯の治療方法
八重歯になってしまう原因は、顎と歯の大きさのバランスが悪いために歯が並びきれずに、犬歯が歯列から飛び出してしまうことです。このため、八重歯の治療法は犬歯が並ぶスペースをつくることです。スペースを作る方法は以下のようなものがあります。
- ①抜歯を行う
- ②歯の大きさを小さくする
- ③歯列のアーチを広げる
- ④奥歯を後方に移動させる
これらの方法を組み合わせることで、歯並びを改善することができます。
以下に詳しく説明します。
①抜歯を行う
歯のスペースが大きく足りていない場合には、抜歯を行い、抜歯したスペースに歯を移動させることで歯並びを整える治療を選択することが一般的です。八重歯がある場合には基本的には犬歯の一つ後ろの歯(小臼歯)を抜歯することがほとんどです。
患者様にとっては歯を抜くということは抵抗がある方がほとんどですが、抜歯が必要な場合に抜歯を行わず歯列矯正を行うと、歯肉が下がってしまうリスクが高くなるなどのデメリットもあります。
また大きくスペースが足りていない場合には、基本的には犬歯は下の歯と噛み合わさっていないことがほとんどです。このため、歯列矯正を行わない状態だとそもそも1本歯が機能していない状態であるため、抜歯を行なっても大きなデメリットはないと当院では考えています
ただし八重歯そのものを抜いてはいけません
八重歯があれば、八重歯(犬歯)を抜歯して歯を並べるのでは?と想像されている方も多いのではないでしょうか?
しかし、先ほどもお話しした通り、犬歯は歯の中で最も歯根が長く、噛み合わせの力を支える上で非常に大切な歯となります。このため、当院ではよっぽどのことがない限り犬歯を抜歯して歯列矯正を行うことは行なっておりません。
また、犬歯は前から3番目の歯で正面より見える歯であり、最終的に歯並びがきれいに並んだ後にも犬歯を抜歯してしまうと正面からの見た目が良くなくなってしまう場合があります。
②歯の大きさを小さくする(ストリッピングを行う)
患者様のお口の中の状態によっては抜歯を行わずに、八重歯を改善することができる可能性があります。
抜歯以外で八重歯を改善するためのスペースを確保するのはストリッピング(IPR、ディスキングなどとも言う)と言って歯の間を少しずつ研磨してスペースを確保する方法です。
このストリッピングによりできたスペースにより八重歯を改善します。
③歯列のアーチを広げる
歯が並んでいるアーチをできるだけ拡大することで、競技場のトラックの外周の方が内周より長い距離があることと同様にスペースを確保することができます。
ただ、これも無限に行えるわけではなく歯が生えている歯槽骨の厚みを超えては行うことができません。このため術前にCTにてしっかりと骨の厚みを確認しておく必要性があります。
④奥歯を後方に移動させる
八重歯を並べるスペースを確保する方法として奥歯を後方に移動させる方法(遠心移動)があります。
マウスピース矯正は通常のワイヤー矯正と比較すると奥歯を後ろに移動させる動きが得意と言われています。実際の臨床を行なっていても確かにそのように感じております。しかし、この方法も無限に奥歯が後方に移動するわけではなく、一般的には2〜3㎜程度しか動かないと言われています。
また、奥歯の後ろに親知らずがある場合には親知らずの抜歯が必要となります。
八重歯を矯正する際の矯正装置について
八重歯に限らず、歯列矯正を行う際には、主に以下の2種類の矯正装置から適したものを選んで治療を行います。
- ・ワイヤー矯正
- ・マウスピース矯正
以下でそれぞれ簡単にご紹介します。
ワイヤー矯正
歯列矯正治療の代表的な方法であるワイヤー矯正は、歯の表面に装着するブラケットとそこに通すワイヤーで歯を動かしていく治療法です。
治療では、金属製やセラミック製のブラケットを歯に接着し、そこに通したワイヤーの力で歯を理想的な位置へと移動させていきます。定期的な調整によってワイヤーの張力を最適化することで、重度の八重歯や複雑な症例にも対応が可能です。
近年では白色セラミックブラケットや裏側矯正など、見た目に配慮した選択肢も増えています。ただし装置は取り外しができないため、装着中は食事制限が必要になり、また装置の周りに汚れが溜まりやすいため丁寧な歯磨きが欠かせません。装着直後や調整後は一時的な痛みを感じることもありますが、確実な治療効果が期待できる方法です。
マウスピース矯正
近年人気が高まっているマウスピース矯正は、八重歯の治療でも活用することが多く、透明な樹脂製のマウスピースを使って歯を動かしていく治療法です。装置が目立たず、食事や歯磨き時に取り外しができるため、見た目や衛生面を重視する方に選ばれています。
当院で採用しているインビザラインは、3Dシミュレーションを用いた治療計画に基づき、患者様一人ひとりに合わせて作製される高精度なマウスピースです。
治療の進行に合わせて1〜2週間ごとに新しいマウスピースに交換し、少しずつ理想的な歯並びへと近づけていきます。
インビザラインとは
インビザラインは世界中で1,200万人以上が選択している先進的なマウスピース矯正システムです。従来の矯正装置と異なり、透明で薄いマウスピースのため装着時の違和感が少なく、他人からもほとんど気付かれません。
装置の取り外しが可能なため、食事や歯磨きの際に制限がなく、お口の中を清潔に保ちやすいのが特徴です。最新のデジタル技術により、治療開始前から完了後の状態をシミュレーションで確認することができ、治療の見通しを立てやすいことも魅力です。
もちろん、八重歯の治療も可能です。
まとめ:抜歯の有無は歯科医師とよく相談して決めましょう
このページでは、八重歯になる原因や八重歯を放置すべきでない理由、八重歯を矯正するメリットと実際の治療方法などについてお話ししました。
八重歯に対する考え方は、日本と海外で大きく異なってきました。日本では長らく「愛嬌があって可愛らしい」とチャームポイントとして捉える文化がありましたが、欧米では不正咬合の一つとして積極的な治療の対象とされてきました。
しかし近年、日本でも口腔機能や将来的な歯の健康への影響を考慮し、八重歯を治療すべき歯並びの問題として認識する方が増えています。SNSの普及により海外の美的感覚が浸透してきたことも、この意識の変化に影響していると考えられます。
またこのページでもご説明した通り、八重歯を放置することには審美面以外にもさまざまなデメリットがあります。このような理由から当院では、八重歯の矯正治療をお勧めしております。矯正治療の際には患者様としっかりと会話して認識の齟齬をなくし、患者様がご満足できる治療をご提供しております。
兵庫県明石市で歯列矯正治療を手がけている当院いぬきデンタルクリニックでは、矯正治療を通じてお口元のコンプレックスを解消し、お口の機能的な問題も同時に解決することで患者様のお口の健康を長く保つお手伝いをしております。歯列矯正をご検討の患者様は、是非お気軽にお問い合わせください。
監修者情報
歯科医師(院長) 井貫 幸一
- 2013年 東北大学歯学部卒業 歯科医師免許取得
- 2022年 いぬきデンタルクリニック 開業
患者さまの生涯にわたりお口の健康を維持し、笑顔あふれる生活をサポートできればと考えております。
お口のことでお悩みの方もそうでない方も是非一度お気軽にご相談ください。
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